な・る 【成る】 >[一]自動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ} ①(別の状態に)なる。変わる。出典更級日記 子忍びの森「今はまいて大人になりにたるを」[訳] 今はまして大人になってしまっているので。②(地位に)就く。任官する。なる。出典更級日記 子忍びの森「わづかになりたる国を辞し申すべきにもあらねば」[訳] やっと任官した国を辞退申し上げるわけにもいかないので。③実現する。完成する。出典徒然草 一八八「いづ方をも捨てじと心にとり持ちては、一事もなるべからず」[訳] どれをも捨てまいと執着していては、一つのことも完成することはできない。④(歳月が)たつ。なる。出典竹取物語 かぐや姫の昇天「かぐや姫を養ひ奉ること二十余年になりぬ」[訳] かぐや姫を養い申し上げることが二十年あまりになった。⑤実を結ぶ。生育する。実る。出典方丈記 「よからぬことどもうち続きて、五穀ことごとくならず」[訳] よくないことがいろいろと続いて起こって、穀物はどれも実を結ばない。◇「生る」とも書く。⑥おいでになる。お行きになる。▽貴人の動作を尊敬していう語。出典中務内侍 「御所になりぬるとてあれば皆起きて参る」[訳] (皇太子が)御所においでになったというので、皆起きて参上する。◇中世以降の用法。 >[二]補助動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}〔敬意を含む漢語に付いて〕…なさる。お…になる。出典平家物語 灌頂・大原御幸「法皇、夜をこめて大原の奥へぞ御幸(ごかう)なる」[訳] 法皇は、夜がまだ深い時分に大原の奥へお出かけになる。◇中古末期にも用例があるが、一般的には中世の用法。 |