おほやけ-ごと 【公事】 名詞① 朝廷の儀式・行事。政務。公務。「おほやけわざ」とも。出典伊勢物語 八三「さても侍(さぶら)ひてしがなと思へど、おほやけごとどもありければ」[訳] そのまま(おそばに)お仕えしていたいと思ったけれど、朝廷の行事などもあったので。[反対語] 私事(わたくしごと)。②租税・賦役(ぶやく)など、国家から課せられた義務的な奉仕。出典更級日記 竹芝寺「武蔵(むさし)の国を預けとらせて、おほやけごともなさせじ」[訳] 武蔵の国を預け与えて、租税や賦役も負担させまい。③型どおりの作法・やり方。④とおりいっぺんの役目。出典源氏物語 桐壺「おほやけごとに仕うまつれる、おろそかなる事もぞ」[訳] とおりいっぺんのお役目として奉仕したのでは、疎略になりかねない。 く-じ 【公事】 名詞①朝廷における政務や儀式。②年貢(ねんぐ)のほかに領主におさめる夫役(ぶやく)(=労役)。出典平家物語 四・源氏揃「くじ・雑事(ざふじ)にかり立てられて、安い思ひも候はず」[訳] 労役や雑務にせきたてられて、平穏な気持ちもございません。③訴訟。裁判。出典甲陽軍鑑 五「田地のくじを仕(つか)まつり」[訳] 田地をめぐる訴訟をいたしまして。 |