みだ・る 【乱る】 >[一]自動詞 ラ行下二段活用活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ} ①乱れる。混乱する。出典平家物語 一・祇園精舎「楽しみをきはめ、いさめをも思ひ入れず、天下のみだれんことを悟らずして」[訳] 楽しみを極め、(人の)忠告をも深く心にとどめないで、国が混乱するであろうことも悟らないで。②しまりがなくなる。格式ばらなくなる。出典枕草子 正月一日は「内裏(うち)わたりなどのやんごとなきも、けふはみなみだれてかしこまりなし」[訳] 宮中あたりなどの高貴な所も、(節句の)今日は皆しまりがなくなって慎みがない。③(心が)乱れる。平静でなくなる。出典源氏物語 夕顔「かかる筋は、まめ人のみだるる折もあるを」[訳] このような(恋の)方面では、まじめな人が心が平静でなくなる時もあるから。 >[二]他動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}①乱す。混乱させる。出典平家物語 二・西光被斬「この一門を滅ぼして、天下をみだらんとする企てあり」[訳] この一門を滅ぼして、国中を混乱させようとする計画がある。②(心を)乱す。平静でなくす。思いわずらわせる。思い悩ます。出典源氏物語 明石「今さらに心をみだるも、いといとほしげなり」[訳] (明石の入道が出家していながら)今改めて、(出家の)心を乱すのも、たいへん気の毒なようすである。 |