い・ふ 【言ふ】 >[一]他動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ} ①言葉で表現する。言う。話す。出典徒然草 二五「桃李(たうり)ものいはねば、誰(たれ)とともにか昔を語らん」[訳] 桃や李(すもも)はものを言わないのだから、だれとともに昔を語ろうか、いや、だれとも語れない。②(詩歌を)詠む。吟ずる。出典土佐日記 一二・二六「唐歌(からうた)声上げていひけり」[訳] 漢詩を声を上げて吟じた。③〔「…といふ」の形で〕呼ぶ。出典伊勢物語 九「それを隅田川といふ」[訳] それを隅田川と呼ぶ。④うわさをする。評判を立てる。出典大和物語 四二「とかく世の中にいふことありければ」[訳] 何かと世間でうわさをすることがあったので。 >[二]自動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}①鳴く。出典蜻蛉日記 中「あやしき声するを『こは何ぞ』と問ひたれば、『鹿(しか)のいふなり』と言ふ」[訳] 妙な声がするので「これは何だ」と質問したところ、「鹿が鳴いているようだ」と言う。②言い寄る。求婚する。出典伊勢物語 二四「いとねむごろにいひける人に、『今宵(こよひ)あはむ』とちぎりたりけるに」[訳] たいへん心を込めて求婚した人に「今夜会おう」と約束していたところ。 |