くだ・く 【砕く】 >[一]他動詞 カ行四段活用活用{か/き/く/く/け/け} ①(物を)砕く。出典徒然草 三〇「嵐(あらし)にむせびし松も千年(ちとせ)をまたで、薪(たきぎ)にくだかれ」[訳] 嵐にむせび泣くように鳴った松も、千年とたたないうちに薪として砕かれ。②(敵を)打ち破る。勢力を弱める。出典徒然草 八〇「運に乗じて敵(あた)をくだく時」[訳] 好運によって敵を打ち破るとき。③〔多く「心をくだく」の形で〕思い悩む。心を痛める。出典源氏物語 須磨「人知れぬ心をくだき給(たま)ふ人」[訳] ひそかに心を痛めなさる人。④〔多く「身をくだく」の形で〕ある限りの力を尽くす。出典源氏物語 若菜下「身をくだきて思(おぼ)し惑ふを」[訳] ある限りの力を尽くして心配なさり途方にくれなさるのを。 >[二]自動詞 カ行下二段活用活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}①(物が)砕ける。出典徒然草 二一「岩にくだけて清く流るる水の気色(けしき)こそ」[訳] 岩に(ぶつかって)砕けて清く流れる水のようすは。②思い乱れる。出典詞花集 恋上「風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけて物を思ふころかな」[訳] ⇒かぜをいたみ…。③整わなくなる。散漫になる。出典徒然草 一四「少しくだけたる姿にもや見ゆらん」[訳] 少し調べが整わなくなった歌体とも見えていようか。 |