おも・ふ 【思ふ】 他動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ} ①感じる。考える。願う。出典伊勢物語 九「すずろなる目をみることとおもふに」[訳] 思いがけない(ひどい)目にあうことだと感じていると。②心配する。悩む。出典土佐日記 一・二一「海賊報いせむといふなる事をおもふうへに」[訳] 海賊が報復をするだろうと言っているとかいうことを心配するうえに。③回想する。懐かしむ。出典新古今集 夏「昔おもふ草の庵(いほり)の夜の雨に涙な添へそ山ほととぎす」[訳] ⇒むかしおもふ…。④愛する。恋しく思う。出典古今集 羇旅・伊勢物語九「名にし負はばいざ言問(ことと)はむ都鳥わがおもふ人はありやなしやと」[訳] ⇒なにしおはばいざこととはむ…。⑤願う。望む。出典竹取物語 蓬莱の玉の枝「おもふことならでは世の中に生きて何かせむ」[訳] (自分の)願うことが成就しなくては、この世の中に生きていていったい何になろうか(いや、何にもならない)。⑥予想する。想像する。出典古今集 雑下・伊勢物語八三「忘れては夢かとぞ思ふおもひきや雪踏み分けて君を見むとは」[訳] ⇒わすれては…。 も・ふ 【思ふ】 他動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}思う。出典万葉集 八五八「並みにしもはば我恋ひめやも」[訳] 並ひととおりに(あなたを)思うのであればわたしは恋などしようか。◆「おもふ」の変化した語。 |