あま 【天】 名詞天(てん)。空。 出典万葉集 二四〇「ひさかたの(=枕詞(まくらことば))あま行く月を」[訳] 大空を行く月を。 参考「あめ」の古形といわれる。単独ではあまり用いられず、ふつう「天つ」(「つ」は「の」の意の上代の格助詞)「天の」の形で用いられるか、または複合語を作ることが多い。上代には主として高天原(たかまのはら)に関する事象に用いられたが、中古以降は空の意にも用いられた。 あめ 【天】 名詞①天上界。出典万葉集 九八五「あめに坐(ま)す」[訳] 天上界にいらっしゃる。[反対語] 国(くに)。②空。[反対語] 地(つち)。⇒天(あま) てん 【天】 名詞①天空。大空。空。[反対語] 地(ち)。②造物主。天帝。中国の古代思想で、天地・万物を創造し支配するとされる神。出典源氏物語 薄雲「罪重くて、てんの眼(まなこ)恐ろしう思ひ給(たま)へらるることを」[訳] 罪が重くて、天帝の眼力が恐ろしく思われておりますことを。③自然の理。運命。天命。出典野ざらし 俳文・芭蕉「ただこれてんにして、汝(なんぢ)が性(さが)のつたなさを泣け」[訳] ただこれは運命であって、自分の生まれつきの不運を嘆け。④六道(ろくどう)の一つ。天上界。人間界の上にあって、すぐれた果報を受ける者が住むという清浄で安楽な理想世界。出典源氏物語 松風「てんに生(む)まるる人の」[訳] 天上界に生まれた人の。◇仏教語。⑤天上界に住んで仏教を守護する神。◇仏教語。⑥最上。最もたっとばれるものや人。▽物事の程度を天・地・人と分けたうちの天。出典徒然草 一二二「食は人のてんなり」[訳] 食べることは人にとって最もたっとばれるものだ。 |