くに 【国】 名詞① 地上。大地。▽天(あめ)に対していう。出典祝詞 祈年祭「天(あめ)の壁(かき)立つ極み、くにの退(そ)き立つ限り」[訳] 天が地と接する所、大地が退く果て。②区域。世界。国。出典竹取物語 かぐや姫の昇天「このくにに生まれぬるとならば」[訳] この(人間の)世界に生まれたということであれば。③国家。国土。国。日本。出典竹取物語 蓬莱の玉の枝「このくにに見えぬ玉の枝なり」[訳] この日本国では見ることのできない玉の枝です。④国。地方。▽地方行政組織として分割統治された一地域。出典土佐日記 一二・二七「京にて生まれたりし女児(をんなご)、くににてにはかに失せにしかば」[訳] 京都で生まれて(連れてきて)いた女の子が、(任地の土佐の)国で急に亡くなってしまったので。⑤国府。▽地方の行政府。出典土佐日記 一二・二三「この人、くにに必ずしもいひつかふ者にもあらざなり」[訳] この人は、国府で必ずしも召し使う者でもないようだ。⑥生国。故郷。国。出典土佐日記 一・二一「なほこそくにの方(かた)は見やらるれ」[訳] それでもやはり故郷の方に自然と目がいってしまうことだなあ。⑦国政。天皇の政務。帝位。出典徒然草 一一〇「身を治め、くにを保たん道も」[訳] わが身を正しくし、国政を持ちこたえるような道も。 |