また 【又・亦・復】 >[一]副詞① 再び。もう一度。出典大和物語 一七三「迎へに人あれば、今またも参り来む」[訳] 迎えに人が来ましたので、すぐ再び参上しましょう。②〔多く「…もまた」の形で〕やはり。同じように。同じく。出典奥の細道 旅立「行きかふ年もまた旅人なり」[訳] 行き交う年月もやはり旅人のようなものである。③そのほかに。それとは別に。出典源氏物語 帚木「さて、また同じころ、まかり通ひし所は」[訳] さて、それとは別に同じころに通っていた(女の)所は。 >[二]接続詞①ならびに。および。▽並列の意を表す。出典枕草子 うらやましげなるもの「髪いと長くうるはしく、下がりばなどめでたき人。また、やむごとなき人の、よろづの人にかしこまられ、かしづかれ給(たま)ふ」[訳] 髪の毛が非常に長く美しくて、垂れた髪の先などが見事である人。ならびに、高貴な人が、大勢の人から恐れ敬われ、大切にされていらっしゃるのは(うらやましい)。②それに。そのうえ。加えて。▽添加(てんか)の意を表す。出典枕草子 うへにさぶらふ御猫は「似ては侍(はべ)れど、これはゆゆしげにこそ侍るめれ。また、…呼べど寄り来ず」[訳] (犬の翁丸(おきなまろ)に)似てはおりますけれども、これはひどいようすのようです。それに、…呼んでも寄って来ない。③一方では。あるいは。▽選択の意を表す。出典伊勢物語 九〇「『…』と言へりけるを、限りなくうれしく、また疑はしかりければ」[訳] 「…」と言ったのを、この上なくうれしく思い、一方では(女が約束どおりにするかどうか)疑わしくもあったので。④さて。それから。▽話題の転換の意を表す。出典方丈記 「また、治承(ぢしよう)四年水無月(みなづき)のころ、にはかに都遷(みやこうつ)り侍(はべ)りき」[訳] さて、治承四年六月のころ、急に遷都がございました。 まった 【又】 接続詞「また」を強めていう語。◆「また」の促音便。 |