わ・る 【割る・破る】 >[一]自動詞 ラ行下二段活用活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ} ①割れる。裂ける。砕ける。壊れる。出典枕草子 月のいとあかきに「水晶(すいさう)などのわれたるやうに」[訳] 水晶などが砕けたように。②分かれる。離れ離れになる。出典詞花集 恋上「瀬を早み岩にせかるる滝川(たきがは)のわれても末に逢(あ)はむとぞ思ふ」[訳] ⇒せをはやみ…。③思い乱れる。出典万葉集 二八九四「わが胸はわれてくだけて利心(とごころ)もなし」[訳] 私の心は思い乱れて悩んで、しっかりした心もない。 >[二]他動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}①割る。裂く。砕く。壊す。出典万葉集 四一九「石戸(いはと)わる手力(たぢから)もがも」[訳] 岩の戸を割る腕力があったらいいなあ。②分ける。分配する。出典宇津保物語 藤原の君「女房の曹司(ざうし)には、廊のめぐりにしたるをなむ、わりつつ賜(たま)へりける」[訳] 女房の部屋には、渡り廊下のまわりに造ったのを、分配してお与えになった。③押し分ける。かき分ける。出典平治物語 中「『寄りあへや、組まん』とて、真中(まんなか)にわって入り」[訳] 「近寄れ、組み討ちしよう」と言って、(悪源太は)真ん中に押し分けて入って。 |