き・る 【切る】 >[一]他動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ} ①切る。出典徒然草 二三一「このほど百日の鯉(こひ)をきり侍(はべ)るを、今日欠き侍るべきにあらず」[訳] このところ百日の(間)鯉を切っておりますので、今日切らないでおくわけにはいきません。②定める。決着をつける。出典今昔物語集 二八・三一「今日その沙汰(さた)きりてむと思ふなり」[訳] 今日その処置を決めてしまおうと思うのだ。③(期限を)区切る。限る。出典日本永代蔵 浮世・西鶴「十年きって抱へたる十四になる小者」[訳] 年季奉公を十年と限って雇った十四になる丁稚(でつち)。◇「きっ」は促音便。 >[二]自動詞 ラ行下二段活用活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}①切れる。分断される。出典大和物語 一〇三「いとかうばしき紙に、きれたる髪を少しかいわがねて包みたり」[訳] とても香りのよい紙に、切れた髪を少し輪のように丸めて包んであった。②定まる。決着がつく。出典愚管抄 五「よき事も悪(わろ)き事もそのとき、事はきるるなり」[訳] よいことも悪いこともそのときに物事は決着がつくのである。③尽きる。なくなる。出典淀鯉出世滝 浄瑠・近松「さすがの廓(くるわ)駕籠(かご)きれて」[訳] さすがの廓にも駕籠が尽きてなくなって。④それる。出典奥の細道 あさか山「二本松より右にきれて」[訳] 二本松のところから右へそれて。 >[三]補助動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}〔動詞の連用形に付いて〕…し終える。完全に…する。出典枕草子 頭の中将の「今宵(こよひ)あしともよしとも定めきりてやみなむかし」[訳] 今夜こそ(あの女と交際するのが)悪いともよいとも決め終えてしまおうよ。 |