び-な・し 【便無し】 形容詞 ク活用活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ} 「びんなし」に同じ。出典和泉式部 「女いとびなき心地(ここち)すれど」[訳] 女(=私)はとても都合が悪い気がするけれども。◆「びんなし」の撥音(はつおん)「ん」が表記されない形。 びん-な・し 【便無し】 形容詞 ク活用活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}①具合が悪い。都合が悪い。不便だ。出典枕草子 びんなきところにて「びんなきところにて、人にものを言ひけるに」[訳] 具合の悪いところで、男と語り合っていたときに。②感心できない。けしからぬ。出典大鏡 時平「左の大臣(おとど)の一の人といひながら、美麗ことのほかにて参れる、びんなきことなり」[訳] 左大臣が、最高の身分であるからといって、ことのほか華美な衣服で参内したのは感心できないことだ。③かわいそうだ。いたわしい。出典風俗文選 俳文「きのふの価(あたひ)、返しくれたびてんやと侘(わ)ぶ。いとびんなければ、許しやりぬ」[訳] 昨日の代金を返してくださらないだろうかと困っている。とてもかわいそうなので、許してやった。 |