もっ-て 【以て】 分類連語 ①「もて①」に同じ。出典平家物語 四・鼬之沙汰「飛脚をもって高倉の宮の御謀反の由、都へ申したりければ」[訳] 飛脚を使って高倉の宮が謀反を起こされたことを、都へ申し上げたので。②「もて②」に同じ。出典保元物語 上「当腹(たうふく)の寵愛(ちようあい)をもって、はるかの末弟近衛(こんゑ)の院に位を奪はれたりしかば」[訳] 当腹(=美福門院)の寵愛のゆえに、ずっと下の末弟の近衛院に位を奪われたので。③「もて③」に同じ。出典平家物語 三・御産「天をもって父とし、地をもって母と定め」[訳] 天をもって父とし、地をもって母と定め。◆「もちて」の促音便。 も-て 【以て】 分類連語①…でもって。…で。…(を)使って。▽手段・材料を示す。出典徒然草 一三一「貧しき者は財(たから)をもて礼とし」[訳] 貧しい者は財貨でもって人に尽くすのを礼儀とし。②…から。…がもとで。…ゆえに。▽動作のきっかけ・理由を示す。出典源氏物語 行幸「心もて、宮仕ひ思ひ立たむこそ」[訳] (自分の)意志から宮仕えを決心するようなことこそ。③…(を)もって。▽ある事柄を取り立てて示す。出典徒然草 二「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもてよしとす」[訳] 天皇のお召しになる物は、簡素なのをもってよいこととする。 注意同じ形の接頭語「もて」、連語「持て」と混同しないこと。 参考名詞、またはそれに「を」が付いたものに付く。「も(以)ちて」の促音便「もって」の促音「っ」が表記されない形。 |