おぼ・ゆ 【覚ゆ】 >[一]自動詞 ヤ行下二段活用{語幹〈おぼ〉} ①思われる。感じられる。出典徒然草 一三七「心あらん友もがなと、都恋しうおぼゆれ」[訳] 情趣を解するような友がいたらなあと、(そういう友のいる)都が恋しく思われる。②思い出される。思い起こされる。出典源氏物語 少女「昔おぼゆる花橘(はなたちばな)、撫子(なでしこ)、薔薇(さうび)くたになどやうの花くさぐさを植ゑて」[訳] 昔のことが思い起こされるたちばなの花、なでしこ、そうび、くたになどといった花をいろいろ植えて。③似る。似ている。出典源氏物語 若紫「少しおぼえたるところあれば、子なめりと見給(たま)ふ」[訳] 少し似ているところがあるので、(尼君の)子であろうと(源氏は)ご覧になる。 >[二]他動詞 ヤ行下二段活用活用{え/え/ゆ/ゆる/ゆれ/えよ}①思い出す。出典更級日記 かどで「わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ」[訳] 自分の思うとおりに、(姉たちは物語を)そらんじていてどうして思い出して話せようか、いや、話せない。②思い出して語る。出典大鏡 序「いと興あることなり。いでおぼえたまへ」[訳] (昔物語は)とてもおもしろいことだ。さあ、思い出して語ってください。 |