いた・る 【至る・到る】 自動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ} ①行き着く。到達する。やって来る。出典土佐日記 二・一六「家にいたりて、門(かど)に入るに、月明かければ、いとよくありさま見ゆ」[訳] 家に到着して、門を入ると、月が明るいので、たいそうよく(庭の)ようすが見える。②(ある時期・時点に)なる。(あるときが)やって来る。出典万葉集 四〇一一「露霜の秋にいたれば」[訳] 露や霜のおりる秋になると。③(ある地位に)達する。なる。出典徒然草 一五〇「つひに上手の位にいたり、徳たけ、人に許されて、並びなき名を得ることなり」[訳] 最後には上手といわれる名人の段階に達し、人格が円熟し、人から認められて、並ぶもののない名声を得るのである。④(極限に)達する。極まる。出典徒然草 六〇「人に厭(いと)はれず、よろづ許されけり。徳のいたれりけるにや」[訳] 人にはいやがられず、万事について許されていたそうだ。これは徳が極限に達していたからであろうか。⑤行きわたる。およぶ。出典源氏物語 帚木「などかは女といはむからに、世にある事の公私(おほやけわたくし)につけて、むげに知らずいたらずしもあらむ」[訳] どうして女だからといって、世間のでき事の公事や私事について、全然知らないで思い及ばないということがあろうか。いや、そんなことはない。 |