おみ 【臣】 名詞① 臣下。家来。②姓(かばね)の一つ。「連(むらじ)」と並んで、律令制以前の大和朝廷の最有力の貴族の姓。 参考②の「臣」の中のさらに有力な者が「大臣(おほおみ)」となって国政に参与した。のち、天武(てんむ)十三年(六八四)の八色(やくさ)の姓の制定では、「臣」は第六位の姓となったが、大和時代の「臣」の有力者には、第二位の「朝臣(あそみ)」の姓を与えられた。 やつかれ 【僕・吾・余・臣】 代名詞わたくしめ。▽自称の人称代名詞。謙そんしていう語。出典日本書紀 安閑「また、やつかれ憂へまをすところなり」[訳] また、わたくしめは、嘆き申し上げるところだ。 参考「やつこ(奴)あれ(吾)」の変化した語で、上代は男女ともに用いた。鎌倉時代までは「やつかれ」で、その後「やつがれ」となるが、近世になると、男性の古風な文語的な表現として用いられた。 や-つ-こ 【奴・臣】 >[一]名詞①臣下。家来。召使い。出典方丈記 「伴ふべき人もなく、頼むべきやつこもなし」[訳] 連れそう妻子もなく、頼りにする召使いもない。②やつ。▽相手をののしっていう語。出典万葉集 一七八三「中上(なかのぼ)り来(こ)ぬ麻呂(まろ)といふやつこ」[訳] 中上り(=国司の、在任中の上京)もして途中で上京して来ない麻呂というやつ。 >[二]代名詞わたくしめ。▽自称の人称代名詞。謙そんしていう語。男女ともに用いる。出典万葉集 四〇八二「天(あま)ざかる(=枕詞(まくらことば))鄙(ひな)のやつこに」[訳] 遠く離れた田舎のわたくしめに。 参考「家(や)つ子(こ)」の意。「つ」は「の」の意の上代の格助詞。 |