ののし・る 【罵る】 >[一]自動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ} ①声高(こわだか)に物を言う。わめく。出典徒然草 一九「何事にかあらん、ことごとしくののしりて」[訳] どんな事が起こったのだろうか、大げさにわめいて。②高い声・大きい声で鳴く。やかましく音をたてる。出典源氏物語 浮舟「里びたる声したる犬どもの出(い)で来てののしるも」[訳] いなかびた声をしている犬が何匹か出て来てほえたてるのも。③口々に言い騒ぐ。大騒ぎする。出典更級日記 初瀬「そのかへる年の十月二十五日、大嘗会(だいじやうゑ)の御禊(ごけい)とののしるに」[訳] そのあくる年の十月二十五日、大嘗会の御禊が催されると大騒ぎするときに。④うわさする。評判になる。出典源氏物語 若紫「この世にののしり給(たま)ふ光源氏、かかるついでに見奉り給はむや」[訳] 世間で評判になっていらっしゃる光源氏を、このような機会に拝見なさってはいかがだろうか。⑤はぶりをきかす。勢力を持つ。出典大和物語 一二四「左の大臣(おとど)の北の方にてののしり給(たま)ひける時に」[訳] 左大臣の夫人として勢力を持っていらっしゃったときに。 >[二]他動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}声を荒くして悪く言う。口やかましく言う。出典大和物語 六三「親聞きつけてののしりてあはせざりければ」[訳] 親が聞きつけて口やかましく言って会わせなかったので。 の・る 【罵る】 他動詞 ラ行四段活用活用{ら/り/る/る/れ/れ}悪口を言う。ののしる。出典万葉集 三〇九六「馬柵(うませ)越しに麦食(は)む駒(こま)ののらゆれど」[訳] 馬柵を越えて麦を食う馬のように(親から)ののしられるけれど。 |