ゆる・ぶ 【緩ぶ・弛ぶ】 >[一]自動詞 バ行四段活用活用{ば/び/ぶ/ぶ/べ/べ} ①たるむ。ゆるくなる。出典万葉集 三二六二「わが帯ゆるふ朝夕(あさよひ)ごとに」[訳] 私の帯はゆるくなる朝夕ごとに。②(暑さや寒さが)やわらぐ。出典枕草子 春はあけぼの「昼になりて、ぬるくゆるびもて行けば」[訳] 昼になって、だんだんと生暖かく、寒さがやわらいでいくと。③(気持ちの張りや緊張が)とける。気がゆるむ。怠る。出典万葉集 四〇一五「心にはゆるふことなく」[訳] 気持ちはゆるむことなく。④のびのびする。(心に)余裕がある。出典源氏物語 末摘花「心やすき独り寝の床にて、ゆるびにけりや」[訳] 気がねのいらない独り寝の床で、のびのびしてしまったよ。 >[二]他動詞 バ行下二段活用活用{べ/べ/ぶ/ぶる/ぶれ/べよ}①ゆるめる。たるませる。出典万葉集 二九八六「梓弓(あづさゆみ)引きみゆるへみ」[訳] 梓弓を引いたりゆるめたり。②(厳しさを)ゆるめる。寛大にする。手心を加える。出典源氏物語 葵「少しゆるべ給(たま)へや」[訳] 少し(祈禱(きとう)を)おゆるめくださいよ。◆上代には、「ゆるふ」といった。 |