おろ-か・なり 【疎かなり・愚かなり】 形容動詞 ナリ活用活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ} ①粗略だ。いい加減だ。出典徒然草 九二「わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや」[訳] たった二本の矢で、師匠の前でそのうちの一本を粗略にしようと思うだろうか、いや、思わない。②〔「言ふもおろかなり」「言へばおろかなり」「…とはおろかなり」などの形で〕まだ言い足りない。言い尽くせない。出典枕草子 すさまじきもの「返す返すもすさまじと言ふはおろかなり」[訳] どう考えても、おもしろくないという言葉では言い足りない。③愚かだ。賢くない。出典徒然草 四一「おろかなることは、なほまさりたるものを」[訳] 愚かであることでは、やはり(あの男より)甚だしいものであるのに。④劣っている。下手だ。出典徒然草 一九三「賢き人の、この芸におろかなるを見て」[訳] 賢い人で、この芸(=碁を打つこと)には下手であるのを見て。 おろ-そか・なり 【疎かなり】 形容動詞 ナリ活用活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}①粗略だ。いい加減だ。おろそかだ。出典源氏物語 桐壺「公事(おほやけごと)に仕うまつれる、おろそかなることもぞ」[訳] お役目として奉仕申し上げるのは、粗略なことがあるといけない。②粗末だ。簡素だ。出典徒然草 二「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもてよしとす」[訳] 天皇のお召しになる物は、簡素なのをもってよいこととする。③よくない。劣っている。つたない。出典宇治拾遺 四・一二「前生(ぜんしやう)の運おろそかにして、身に過ぎたる利生にあづからず」[訳] 前世の巡り合わせがよくなくて、身に過ぎたご利益を受けることもない。 |