なずら・ふ 【準ふ・擬ふ】 >[一]自動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ} 肩を並べる。準じる。「なぞらふ」とも。出典源氏物語 桐壺「女御子(をんなみこ)たち二所(ふたところ)、この御腹におはしませど、なずらひ給(たま)ふべきだにぞなかりける」[訳] 皇女たちがお二方、この(弘徽殿(こきでん)の女御の)御腹にお生まれになっているが、(源氏に)肩をお並べになることができる方さえもないのであった。 >[二]他動詞 ハ行下二段活用活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}①同程度・同格のものと見なす。比べる。出典伊勢物語 二二「秋の夜の千夜(ちよ)を一夜(ひとよ)になずらへて」[訳] 秋の夜の千夜を一夜と見なして。②同じようなものに似せる。まねる。出典源氏物語 少女「いにしへの例(ためし)になずらへて白馬(あをうま)ひき」[訳] 古い前例をまねて白馬を引き。◆「なぞらふ」とも。 なそ・ふ 【準ふ・擬ふ】 他動詞 ハ行下二段活用活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}なぞらえる。他の物に見立てる。出典万葉集 四〇五四「ほととぎすこよ鳴き渡れ灯火(ともしび)を月夜(つくよ)になそへその影も見む」[訳] ほととぎすよ、ここを通って鳴きながら飛び過ぎよ、(月のない夜だから)灯火を月に見立て、その光でお前の姿も見よう。◆後には「なぞふ」とも。 なぞら・ふ 【準ふ・擬ふ】 >[一]自動詞 ハ行四段活用活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}「なずらふ >[一]」に同じ。出典後撰集 春中「身になぞらへる花にしあらねば」[訳] 私などと肩を並べている(つまらない)花ではないので。 >[二]他動詞 ハ行下二段活用活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}①「なずらふ >[二]①」に同じ。出典方丈記 「今の世の有様、昔になぞらへて知りぬべし」[訳] 今の世のようすを、昔にひき比べて理解するがよい。②「なずらふ >[二]②」に同じ。 |